2017-06-15 言葉)自分の感受性ぐらい 人の言葉 ぱさぱさに乾いてゆく心をひとのせいにはするなみずから水やりを怠っておいて 気難しくなってきたのを友人のせいにはするなしなやかさを失ったのはどちらなのか 苛立つのを近親のせいにするななにもかも下手だったのはわたくし 初心消えかかるのを暮らしのせいにはするなそもそもが ひよわな志にすぎなかった 駄目なことの一切を時代のせいにはするなわずかに光る尊厳の放棄 自分の感受性ぐらい自分で守ればかものよ 茨木のり子詩集「自分の感受性ぐらい」